唇から起こる心の傷
前回はストレスにさらされると大酒を飲んだり、タバコなどを多量に吸ったする原因に、赤ん坊の授乳期に不都合な養育があるのを説明しました(むろん全ての人でありません)。
唇からくる心の傷は、強い怒りが伴うことがあります。酒を飲んで暴力を振るうこともあります。
唇を通じて親と愛情のやり取りは2つある
授乳など、唇を通じて親とのやり取りをする時、「生まれたばかりの時」と「生まれて少し経った時」と2つの時期に分けられます。
この2つの時期の親の子供に対する対応で、唇に「固着」する愛情の形も変わってきます。
「固着」とは、前回説明しましたが、人間がストレスを受けた時に「育ち切らなかった部分に戻ってくること」をいうのでしたね。
育ちの過程で、唇で親の愛情のやり取りがスムーズにいかなかった場合、大人になってストレスにさらされると、唇の寂しさを補(おぎな)いたい気持ちになります。
そこで、ストレスにさらされると、唇の寂しさを何とかするために、大酒を飲み、多量の煙草を吸うのでした。甘い言葉で異性を誘うときも、唇に「甘さ」を通すので、お酒と同じです。
この唇の2つの時期を精神分析では、「分裂・妄想ポジション」と「抑うつポジション」と言います。言葉が難しいので、前期唇期(くちびるき)・後期唇期としますね。
前期唇期である「分裂・妄想ポジション」で、赤ん坊が親から愛情の不都合を受けるとなかなか回復が難しいくらいのダメージを受けます。
〇 次回は、前期唇期から話をします。
質問コーナー
Q:夫がアルコールで暴力を振るいます。いくら口で言っても分かりません。どうしたらわかってくれるでしょうか?
A:授乳期に不都合な育てられ方をした場合、まだ、言葉を覚える前なので、大人になってから言葉での修正は困難を極めます。
周りがいくら説得しても、言葉が無意識の心の傷に届かないので、説得が無になるケースがほとんどです。この場合は医師などの特別な治療(支援)が必要になります。